連載 漢方よもやま話・第9回
補中益気湯
能㔟 充彦
1
1名城大学薬学部生薬学研究室
pp.1060-1063
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.34433/og.0000000862
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1.はじめに
今回ご紹介する処方は,補中益気湯です.この処方は,2015~2022年の漢方製剤の生産動態において2位にランキングされる処方です.現在は大建中湯が1位にランクされていますが,生産動態においては5年ほど前までずっと1位でしたから,これまでに最も使用されてきた処方といえるのではないでしょうか.エキス製剤の添付文書によれば,「消化機能が衰え,四肢倦怠感著しい虚弱体質者の次の諸症」として,夏やせ,病後の体力増強,結核症,食欲不振,胃下垂,感冒,痔,脱肛,子宮下垂,陰萎,半身不随,多汗症に効果があるとされています.また,古典においても体力の低下により疲労倦怠感を訴える虚弱者の様々な疾患に応用される処方とされ,最も使用頻度の高い処方の1つであります.
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