特集 よくわかる! 精神疾患対応 これ1冊―内科医と精神科医の連携のために
第7部 知っておきたい精神疾患 各論5:認知症
6 特発性正常圧水頭症
數井 裕光
1
1高知大学医学部神経精神科学講座
pp.295-298
発行日 2024年3月26日
Published Date 2024/3/26
DOI https://doi.org/10.34433/dt.0000000700
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Summary
1.特発性正常圧水頭症(iNPH)は,高齢者の1.6%に存在するため,歩行障害,認知障害,尿失禁(3徴)のいずれかを有する高齢者においては,鑑別診断に加える必要がある.
2.iNPHは,適切に診断,治療されれば,シャント術1年後に,75~84%の症例で3徴のいずれかが改善し,63~69%の症例でADLが改善する.
3.診断において頭部MRIにおけるくも膜下腔の不均衡な拡大を伴う水頭症(DESH)所見が有用である.
4.iNPHはAlzheimer病理を併存する頻度が高く,これがシャント術の効果を低減させうる.そのため認知症専門医療機関で,鑑別診断に加えて併存診断を行ったうえでシャント術の実施を決定することが望ましい.
5.iNPHと他疾患の鑑別診断,およびシャント術の効果予測には,脳脊髄液排除試験が有用である.
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