特集1 新薬で変わる感染症治療
◉新薬上市後の変化とさらなる治療展望
③インフルエンザ
-―バロキサビル マルボキシルの臨床使用~耐性株の実際を含めて~
渡辺 彰
1,2
1東北文化学園大学 医療福祉学部 抗感染症薬開発研究部門 特任教授
2公益財団法人宮城県結核予防会 理事長
キーワード:
インフルエンザ
,
抗インフルエンザ薬
,
バロキサビル
,
I38アミノ酸変異
,
中和抗体価
Keyword:
インフルエンザ
,
抗インフルエンザ薬
,
バロキサビル
,
I38アミノ酸変異
,
中和抗体価
pp.174-179
発行日 2019年9月10日
Published Date 2019/9/10
DOI https://doi.org/10.34426/kk.0000000055
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Summary
2018年春に承認されたバロキサビル マルボキシルは,抗インフルエンザ薬の中でもシェアが最も高くなっているが,投与後にI38アミノ酸変異による耐性ウイルスが一過性に出現する。出現頻度は成人で10%弱,小児で20%強であり,それらではインフルエンザ症状軽快に若干の遅延が見られる。家族内感染を起こしている可能性は極めて小さいようであり,また,そこから周囲へ大きく波及する事例は見付かっていない。この変異は,血中のインフルエンザ抗体価が低い例で有意に多く起こっており,ワクチン接種が有用と思われる。
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