薬剤感受性検査データ(MIC)の読み方と耐性菌検査 グラム陽性菌編
6.Neisseria gonorrhoeae
大澤 佳代
1
1神戸常盤大学 保健科学部 医療検査学科 教授
pp.576-580
発行日 2025年6月15日
Published Date 2025/6/15
DOI https://doi.org/10.32118/mt53060576
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薬剤耐性機序・疫学的背景
本株は表1のMIC値および表2のブレイクポイントにより,ペニシリン系が非感性,セファロスポリン系およびキノロン系が耐性と判定される.ペニシリン系が非感性でMIC値が低いことから,ペニシリナーゼ産生淋菌(penicillinase-producing Neisseria gonorrhoeae;PPNG)の可能性は低いと考えられる.1970年代にはプラスミド性のペニシリン高度耐性株であるPPNGの世界的な拡散がみられたが,近年ではペニシリン結合蛋白2(PBP2)の変異に伴うペニシリンGの親和性が低下した淋菌(chromosomally mediated penicillin-resistant N. gonorrhoeae;CMRNG)が多く検出されており,今回の株のようなペニシリン系の非感性ならびにセファロスポリン系抗菌薬の耐性の原因の一つとしてあげられる1).このようなセフィキシム(CFIX)やセフトリアキソン(CTRX)に対する感受性の低下もしくは耐性をもつ淋菌株は,治療の失敗を引き起こす原因とされる.

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