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内容のポイント Q&A
Q1 What? 子ども全体の発達に占める粗大運動発達の位置づけは?
粗大運動能力は,子どもの発達全体の重要な基盤となっており,認知,社会性,情緒,言語等,他の発達領域を支える重要な役割を果たしている.特に重要なのは粗大運動発達に伴い,子どもの周辺探索が拡大,精緻化していくことであり,粗大運動能力に制限がある場合に,電動カート等の補助機器を使用することで,他の領域の発達が進むとされている.
Q2 Who? 粗大運動発達に課題のある子どもにはどのような特徴があるか?
古典的な運動発達のマイルストーンの達成時期の遅れ,筋緊張の亢進ないし低下,バランス・姿勢制御能力の障害,易疲労性および中枢性の運動麻痺がある場合,身体の左右の動きの協調性の低下等が,主な特徴となる.特に脳性麻痺の場合,四つ這い時の左右の下肢の協調性(交互性)の獲得は,将来の歩行能力の重要な予測因子となる.
Q3 When? Where? いつから,いつまでを評価するのが適切か?
粗大運動の評価は,出生直後から学童期まで繰り返し行わなくてはならない.早産児,周産期仮死,低酸素性虚血性脳症の児に対しては,NICU退院前には必須で,退院後も当該医療機関での早期フォローが必要となる.月齢6~12カ月では,主に乳児健診,それ以降では保護者が粗大運動の発達の遅れをはっきりと認識するので,小児科やリハビリテーション科等,子どもの発達を専門とする科での評価機会が増加する.
Q4 How? どのように評価し,リハビリテーション診療を行うべきなのか?
粗大運動の評価は「何歳か」「何ができるか」「何をゴールにするか」を明確にしながら行い,評価をもとに個別的なリハビリテーション計画を立てていく.短期的なゴールは,年齢・重症度的に無理のないものにするべきである.粗大運動に対する介入は,運動学習の原則に則って行われ,ゴールとなる動作は家族と共有し,自宅でも十分な環境調整を行ったうえで,遊びの中で繰り返しその動作をやってもらうのが理想的である.

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