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特集 大腿骨近位部骨折のリハビリテーション診療
第2章 大腿骨転子部・転子下骨折の手術とリハビリテーション治療,合併症
大腿骨転子下骨折の手術とリハビリテーション治療,合併症
Surgical Treatment and Rehabilitation for Subtrochanteric Fracture
福井 友章
1
Tomoaki Fukui
1
1神戸大学大学院医学研究科整形外科
キーワード:
大腿骨転子下骨折
,
リハビリテーション
,
髄内釘
Keyword:
大腿骨転子下骨折
,
リハビリテーション
,
髄内釘
pp.700-704
発行日 2025年6月25日
Published Date 2025/6/25
DOI https://doi.org/10.32118/cr034070700
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内容のポイント Q&A
Q1 大腿骨転子下骨折に対する骨接合術の適応とインプラントの特徴は?
大腿骨転子下骨折は特徴的な転位をきたすことが多く,早期のリハビリテーション開始のためにも原則的に骨接合術の適応となる.内固定の方法として髄内釘やプレート等が選択肢となるが,骨折部の固定力に優れている点等から髄内釘がgold standardとされている.転子部骨折用の短い髄内釘では固定性が不足し得ると考えられ,十分な長さの髄内釘が選択されるべきである.
Q2 大腿骨転子下骨折の急性期におけるリハビリテーション治療は?
その他の大腿骨近位部骨折と同様に術後早期からの関節可動域訓練,筋力訓練を開始することが望ましい.一方で,荷重の許可には慎重になる必要がある.転子下骨折は整復が困難なため,骨片間の接触が十分に得られないことが少なくない.そのような症例では,一定期間の荷重制限を設け,画像検査所見や疼痛等の症状を確認しつつ段階的に荷重を上げていくことが必要となる.
Q3 大腿骨転子下骨折における注意すべき合併症(荷重時期等)は?
荷重時期については一定の基準はなく,骨折部の整復状態や骨質,骨折線の走行等から総合的に判断する必要がある.骨癒合が十分に進んでいない状態で荷重を進めると,過度のストレスを受けたインプラントが折損したり,これによって安定性を失った骨折部が偽関節となることがあるため,転子下骨折においては特に注意が必要である.

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