リハビリテーション科医に必要な消化器疾患の知識と近年の進歩
7.小腸疾患
壷井 章克
1
,
岡 志郎
1
1広島大学病院 消化器内科
キーワード:
小腸カプセル内視鏡
,
バルーン内視鏡
,
短腸症候群
Keyword:
小腸カプセル内視鏡
,
バルーン内視鏡
,
短腸症候群
pp.68-73
発行日 2025年1月15日
Published Date 2025/1/15
DOI https://doi.org/10.32118/cr034010068
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●はじめに
従来,小腸は長い管腔と腹腔内の固定の乏しさから,通常の上部消化管内視鏡および大腸内視鏡では到達が困難であり,小腸疾患の診断にはCTや小腸造影等, 放射線学的な検査しかなく, 「暗黒大陸」と称されてきた.2000年にIddanら 1)が初めて小腸カプセル内視鏡を報告し,小腸粘膜の内視鏡観察が可能となった.2001年にはバルーンで腸管を把持し,オーバーチューブを組み合わせて深部小腸への挿入を可能とするダブルバルーン内視鏡(double balloon endoscopy;DBE)が 2),その後シングルバルーン内視鏡(single balloon endoscopy;SBE)も開発され 3),device assisted enteroscopy(DAE)と総称されている.DBEは2003年11月に,SBEは2007年4月に,小腸カプセル内視鏡は2007年10月にそれぞれわが国で保険収載され,現在では小腸疾患の内視鏡診断にかかすことのできない内視鏡機器である.また, DAEは組織学的診断のみならず内視鏡治療も可能である.一方,小腸疾患は腫瘍性病変,血管性病変,腸閉塞や炎症性病変,全身性疾患に伴う小腸病変等多岐にわたり,消化器内科医にとっても鑑別が困難なことは少なくない.また,小腸疾患に特異的な症候がないことや,小腸疾患という特殊性,希少性から消化器内科以外の医師にとって,小腸疾患へのアプローチは十分に認知されているとは言い難いのが現状である.
本稿では消化器内科医以外にも認知すべき小腸疾患の病態,治療法や最近の進歩について解説する.
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