最新版!摂食嚥下機能評価-スクリーニングから臨床研究まで
5. TOR-BSST©(The Toronto Bedside Swallowing Screening Test)
兼岡 麻子
1
1東京大学医学部附属病院リハビリテーション部
キーワード:
TOR-BSST©
,
スクリーニング検査
,
摂食嚥下障害
Keyword:
TOR-BSST©
,
スクリーニング検査
,
摂食嚥下障害
pp.1096-1099
発行日 2024年10月15日
Published Date 2024/10/15
DOI https://doi.org/10.32118/cr033111096
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
背景と目的
水飲みテストは誤嚥を検出するためのスクリーニング検査で,世界各国で広く行われている.評価者は患者が水を飲む様子を観察して誤嚥の有無を判定するが,使用する水の量や実施方法はさまざまである 1).日本では,患者に3 mlの水を嚥下させ,むせや湿性嗄声の有無で誤嚥を判定する改訂水飲みテストが普及している 2).患者の病態によっては30 mlの水を用いた水飲み検査も行われる 3).一方,海外では,水飲み検査で使用する水の量は一般に30 mlよりも多い.特に近年,高い感度・特異度を兼ね備えた検査手順として,まず少量の水(1〜5 ml)を嚥下させ,異常所見がなければ90mlの水を連続嚥下させて反応を観察する方法も提唱されている 4).
The Toronto Bedside Swallowing Screening Test(TOR-BSST©) 5)は,2009年にトロント大学のspeech-language pathologist(SLP)であるMartinoらが開発した嚥下障害のスクリーニング検査で,急性期脳卒中患者の嚥下障害を早期に発見する目的で作成された.Martinoらはsystematic reviewを行い 6),脳卒中による嚥下障害を鋭敏に検出するスクリーニング項目を過去の文献から抽出し,それらを組み合わせてTOR-BSST©を構成した.検査は舌の自動運動,水飲みテスト,声の評価から成り,嚥下診療にかかわる医療専門職(SLP,看護師,作業療法士等)が実施する.実施から採点,記録までを10分以内で終えることができる簡便な検査である.
Copyright© 2024 Ishiyaku Pub,Inc. All rights reserved.