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内容のポイント Q&A
Q1 なぜ生活期で三位一体の取り組みが必要なのか?
超高齢化に伴う疾病構造の変化により,リスク要因はメタボリック症候群から低栄養・サルコペニア・フレイルにシフトする.特に低栄養から始まるフレイルサイクルは高齢者に多い誤嚥性肺炎や骨折のリスクとなる.生活期におけるこれらに対する予防的介入が非常に重要であるが,その入り口となる低栄養の対策には栄養のみならず口腔(摂食機能),リハビリテーション(生活力・環境調整)が非常に重要になる.
Q2 生活期における三位一体の取り組みの実践とアウトカムとは?
生活期の高齢者においては低栄養の頻度が高く,年齢や要介護度に従って上昇していく.低栄養に対する介入が重要となるが,生活期においては低栄養に対する課題意識が患者(住民),専門職の双方で乏しい.加えて地域における栄養サポートは,それぞれ異なる事業所に属する多職種協働が求められるが,地域によってリソースの不足もあり,それを補うための工夫が求められる.
Q3 生活期における三位一体の取り組みの将来展望とは?
生活期における三位一体の取り組みの最大の阻害要因は運営の複雑さとコストである.病院では施設完結型のチーム運営が可能であり診療報酬による評価もある.しかし生活期(地域)においては多職種が限られた支援枠内で医療保険・介護保険を使い分けて介入する.実働の中心となる管理栄養士と歯科衛生士,リハビリテーション専門職はそれぞれ指示命令系統が異なるという課題もある.これらを解決する必要がある.
Q4 実践例は?
重度るい痩患者(慢性呼吸不全)に対し,低栄養に対して管理栄養士による栄養評価と食事指導,歯科医師・歯科衛生士による口腔機能評価と嚥下リハビリテーション,リハビリテーション専門職による最適な食姿勢(ポジショニング・シーティング)と離床時間の確保等を組み合わせながらまずは体重回復からアプローチしたところ,ADLが大幅に改善し,肺炎の発症頻度も減少した.単一の介入では成果が出にくい複合要因の低栄養・サルコペニア・フレイルのケースが生活期には多数存在する.
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