連載 新しい義肢のパーツ【新連載】
膝継手;(1) さまざまな機構を用いた膝継手
大石 暁一
1
,
山﨑 伸也
2
1国立身体障害者リハビリテーションセンター学院
2国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所
キーワード:
義足
,
膝継手
,
立脚相制御
,
遊脚相制御
Keyword:
義足
,
膝継手
,
立脚相制御
,
遊脚相制御
pp.708-709
発行日 2008年7月10日
Published Date 2008/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101294
- 有料閲覧
- 文献概要
はじめに
近年,義肢,とりわけ義足では切断者のさまざまなニーズに適応した高機能なパーツが開発されてきた.先頃,両下腿義足装着者がパラリンピックではなく,北京オリンピックの短距離走競技に出場して成績を競いたいという目標を抱いていたが,国際陸上競技連盟の「義足の機構的優位性」を理由とした裁定により,希望は叶えられなかったことが報道された.しかしその後,スポーツ仲裁裁判所がこの決定を覆し,挑戦してよいという判断が下されたそうである.この出来事はいかに現在の義足が進歩しているかを物語っている.
今号より6回にわたり,最近よく使用される義肢のパーツや新しく開発されたパーツについて述べる.本稿では,股関節離断や大腿切断,膝離断などにより失われた膝関節の機能を代償する膝継手について,その機構や特徴を紹介する.膝継手に求められる機能は,立脚相での膝の前後方向に対する安定(立脚相制御)と,遊脚相における下腿部の振り出しの制御(遊脚相制御)である.これらの制御を実現するためにさまざまな機構が用いられている.
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.