未知なる発酵食を訪ねて―フィールドワークからみる食と文化⑧
ラオスで出会った驚きの発酵肉食品
横山 智
1
Satoshi Yokoyama
1
1名古屋大学大学院 環境学研究科
pp.208-209
発行日 2026年8月1日
Published Date 2026/8/1
DOI https://doi.org/10.32118/cn149020208
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ビールのお供は酸っぱい豚
ラオスは私が長年調査を続けてきた国である.東南アジアの内陸部に位置し,一年を通して暑い.炎天下での調査を終えたあとに飲む冷たいビールは格別だ.そのビールのお供として私が真っ先に思い浮かべるのが「ソム・ムー」である.ソム・ムーはラオス語で「酸っぱい豚」を意味する発酵ソーセージだ(写真1).
豚ひき肉と豚皮に塩,砂糖,もち米,ニンニク,唐辛子を混ぜ,バナナの葉に包んで2〜3日発酵させれば完成する(写真2).火を通していない生の豚肉ソーセージなどと聞くと,即病院行きを連想する方もいるだろう.しかし,ラオスでは昔から親しまれてきた伝統的な発酵食品であり,ベトナムのネムチュア,タイのネームなど,隣国にもよく似た発酵肉食品がある.
口に入れると,爽やかな酸味が広がり,豚皮のコリコリとした食感が後を引く.暑い日のビールとの相性は抜群である.塩やニンニク,唐辛子には雑菌の繁殖を抑える働きがあり,砂糖が発酵の呼び水となり,炊いたもち米が発酵を持続させる栄養源となる.長い年月をかけて受け継がれてきた人々の知恵が詰まった食品である.
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