備えておきたい 院内エマージェンシー対応①
エマージェンシー対応の基本
荒神 裕之
1
Hiroyuki Kojin
1
1山梨大学大学院 総合研究部 医学域 医療安全学講座
pp.548-552
発行日 2025年5月1日
Published Date 2025/5/1
DOI https://doi.org/10.32118/cn146050548
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はじめに
医療機関において,患者の急変や状態悪化への備えは,患者安全(医療安全)の観点から全職員での取り組みが求められる重要事項である.病院機能評価の「患者等の急変時に適切に対応している」の評価項目では,全職員を対象とした心肺蘇生(cardiopulmonary resuscitation:CPR)の訓練実施が求められている1).病院や施設内で発生する急変事例は,決して珍しいものではなく,その対応の成否が患者の転帰を大きく左右する2).管理栄養士・栄養士は,直接,急変対応に携わることはまれであるものの,患者急変の原因となる食物誤嚥やアナフィラキシーの原因となる食物アレルゲンに深く関与するなど,患者急変への積極的関与が求められる.
本稿では,シリーズ第1回として院内の急変対応の基本的な考え方をテーマに,basic life support(BLS)訓練の重要性や,患者の状態悪化に備えたrapid response system(RRS)の導入と運用について概説する.

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