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はじめに
ぜん息は,子どもによくみられる慢性の呼吸器疾患であり,気管支の慢性的な炎症が主な原因である.この炎症により,わずかな刺激でも気管支が腫れ,痰が出たり,周囲の筋肉が収縮して気管支が狭くなることで,繰り返し呼吸困難が生じる.発作時には,「ゼーゼー」,「ヒューヒュー」といった特徴的な呼吸音,いわゆるぜん鳴がよくみられる.ぜん鳴は,気道の狭窄を示す重要な指標であり,ぜん息の重症度や進行状況を評価するうえで欠かせない症状である.ぜん鳴の頻度や強さは個々の患者によって異なるため,早期にリスク要因を特定し,適切かつ効果的な対策を講じることが,ぜん息の発症や悪化を防ぐために重要である.
近年,妊娠中の母親の食事が子どもの呼吸器系の健康に与える影響についての関心が高まっている 1).妊娠期の栄養が不十分であると,胎児の肺や気道,免疫系の発達に悪影響を及ぼし,その結果として子どものぜん息リスクが高まる可能性がある.これまでの研究では特定の栄養素や食品の影響が主に取り上げられてきたが,最近では食事全体の質が子どものぜん息リスクにどのように影響するかに注目が集まっている.しかし,母親の食事と子どものぜん息症状との関連を調べた系統的レビューやメタアナリシスでは,一貫した結果が得られていない 1).これは,ぜん息が多様な症状を呈し,個々の患者によって異なる特性を示すことが一因とされる.とくにぜん鳴は,気管支の炎症や感染症など,さまざまな要因で発症するため,ぜん息との区別がむずかしい場合がある.
本稿では,ぜん鳴の多様な症状を体系的に理解するために子どもが1歳から4歳になるまでのぜん鳴の時間的推移をパターンとして類型化し,そのパターンと妊娠前からの母親の食事の質との関連を調べた研究結果を紹介する2).

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