疾患・病態別のポイントがわかる! 栄養指導オールガイド
【栄養指導に関する最新TOPICS】10 マインドフルイーティング
野崎 剛弘
1
Takehiro Nozaki
1
1中村学園大学大学院栄養科学研究科
キーワード:
マインドフルネス
,
肥満
,
味覚
Keyword:
マインドフルネス
,
肥満
,
味覚
pp.951-953
発行日 2024年5月25日
Published Date 2024/5/25
DOI https://doi.org/10.32118/cn144060951
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マインドフルイーティングとは
忙しなくストレスに満ちた現代社会では,食事をゆっくりと味わってとることがむずかしくなっている.時間に追われて食べる「早食い」,スマートフォンやテレビを見ながら食べる「ながら食い」,お腹が減っていなくてもお菓子を食べ続ける「だらだら食い」,イライラから「気晴らし食い」をする人が増えている.これは,「心ここにあらずの食べ方」であり,肥満になる食べ方である.マインドフルイーティングは,食事に意識をしっかりと向け,「意志の力で我慢するのではなく,感覚(五感)を研ぎ澄まし,食を楽しみ,体の声をよく聴き,しっかりと満足を感じて食べる」食べ方である.これは,「心ここにある食べ方」であり,心ここにあらずの食べ方,すなわち「マインドレス」イーティングとは対極の食べ方である.マインドフルイーティングは,過食症や肥満症の治療に用いられその効果が認められている1).
マインドフルイーティングは,マサチューセッツ医科大学のKabat-Zinnが提唱したマインドフルネスを食べ方に応用したものである.マインドフルネスは「気付くこと」,「意識すること」と訳されることが多いが,その本質は「いまを生きる心の状態」である.具体的にいうと,「いま,ここで起きていることに意識を向け,価値判断をせず,ありのままを感じて受け止める」心の状態をさす.いまここで起きている対象には,自分の呼吸や身体感覚が含まれる.これらは生きている限り,その人自身に備わっているものであるから,最初に意識を向ける対象としてわかりやすい.
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