疾患・病態別のポイントがわかる! 栄養指導オールガイド
【栄養指導に関する最新TOPICS】8 緩和ケアと栄養サポート
森 茂雄
1
Shigeo Mori
1
1JA愛知厚生連豊田厚生病院栄養管理室
キーワード:
緩和ケア
,
栄養指導
,
栄養サポート
Keyword:
緩和ケア
,
栄養指導
,
栄養サポート
pp.944-946
発行日 2024年5月25日
Published Date 2024/5/25
DOI https://doi.org/10.32118/cn144060944
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緩和ケアの現状
世界保健機関(WHO)が2002年に緩和ケアの定義をしてから20年あまりが経過し,医療機関,介護施設,在宅などあらゆる場面でその体制が構築されてきた.緩和ケアの対象となる疾患は癌がもっとも多く,ほかに循環器疾患,腎疾患,呼吸器疾患,認知症などがある.従来の癌終末期のみを対象とする医療から,癌と診断された早期から継続的に患者の全人的苦痛を緩和し,QOLを維持する医療への変換によって,緩和ケアにおける栄養療法の役割は治療全般を通して継続的に適正な栄養管理を実施することになった1).
従来は一部に限られていた緩和ケアのかかわりが拡大されたことにより,管理栄養士がかかわる機会も増加した.緩和ケアは,患者とその家族の介護者の苦しみを軽減し,可能な限り最高の生活の質を達成することに重点を置いている.これには症状の評価と治療が含まれ,意思決定のサポートと十分な情報を得た患者と家族の目標に治療法を適合させる際の支援が必要となる2).緩和ケアでは対象者の幅が広く,置かれている条件もさまざまであることから絶対的な正解は存在しないことが多い.患者や家族の思い,治療方針,環境など種々の条件を勘案した栄養指導や栄養サポートを行う.
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