嚥下障害に対する外科的治療の適応と意義②〈完〉
嚥下機能改善手術
戎本 浩史
1
Koji Ebisumoto
1
1東海大学医学部 耳鼻咽喉科・頭頸部外科
pp.164-168
発行日 2024年2月1日
Published Date 2024/2/1
DOI https://doi.org/10.32118/cn144020164
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はじめに
嚥下は口腔期,咽頭期,食道期の3相からなる.とりわけ,咽頭期は鼻咽腔閉鎖,咽頭収縮,喉頭挙上,食道入口部の開大といった複雑な運動が連動し,嚥下運動の中核を成す.嚥下機能の改善においては,まずは病態と障害部位の把握が必要であり,病態に応じたリハビリテーションが行われる.リハビリテーションは急性期から重要な役割を担うものの,リハビリテーション無効例や回復が見込めない例に対しては手術介入も検討される.
手術は,喉頭機能を廃絶させることで誤嚥性肺炎の予防を目的とする誤嚥防止術と,喉頭機能を維持しつつ咽頭期嚥下機能の代償,経口摂取能の回復を目的とした嚥下機能改善手術に大きく分けられる.嚥下機能改善手術は表11)のようにその目的によって多様だが,本稿ではそのうち喉頭挙上術と輪状咽頭筋切断術について,その適応と概要を実際の症例を踏まえ解説する.
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