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第5土曜特集 心不全診療の未来戦略――ゲノム,AI,多臓器連関が拓く新時代
心不全の診断・治療のトピックス State-of-the-art developments and future prospects
心エコーAIが拓く心不全診療の未来
-――実装から現場課題解決まで
AI-powered echocardiography opens up the future of heart failure treatment
――From implementation to resolving on-site issues
酒本 暁
1
,
鍵山 暢之
1
Akira SAKAMOTO
1
,
Nobuyuki KAGIYAMA
1
1順天堂大学医学部循環器内科
キーワード:
心エコー
,
診断ツール
,
AI
,
マルチモーダル解析
Keyword:
心エコー
,
診断ツール
,
AI
,
マルチモーダル解析
pp.892-897
発行日 2025年11月29日
Published Date 2025/11/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu295090892
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2010年代にディープラーニングの画像解析における大きな可能性を見出して以来,AI分野は急速な発展と普及を遂げ,われわれの日常生活に深く浸透しつつある.膨大なデータから学習することで,AIは人間が気づきにくかったパターンを見出し,画像や映像の解析,音声認識,自動運転など,多分野で応用が進んでいる.医療においても,AIは特に放射線領域でめざましい成果をあげてきたが,画像認識に強みを持つことから,心エコーを含む循環器領域でも大きな可能性を秘めている.心エコーは,心機能や弁膜疾患を非侵襲的かつ繰り返し評価できる基本的な診断モダリティであり,循環器診療に欠かせない手段である.一方で,検査に時間がかかること,操作者の熟練度によって画質や測定値が左右されること,主観的な読影による再現性に乏しいことなど,いくつかの課題も抱えている.とりわけ心不全診療においては,心エコーは重症度評価,原因精査,治療反応のモニタリングなど,すべての病期に関与する極めて重要な検査である.AIの導入により,こうした評価の客観性と効率性が向上すれば,医療の質の均質化や予後改善にもつながる可能性がある.本稿では,心エコーにおけるAIの最新の応用例と,今後の心不全診療の展望について概説する.

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