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第5土曜特集 心不全診療の未来戦略――ゲノム,AI,多臓器連関が拓く新時代
急速に進歩し続けるゲノム・オミクス研究のcutting edge
心不全の謎を解くシングルセル解析
-――最新の知見と展望
Single-cell analysis to elucidate the pathophysiology of heart failure
加藤 愛巳
1
Manami KATOH
1
1東京大学大学院医学系研究科先端循環器医科学講座
キーワード:
心不全
,
シングルセルRNAシークエンス(scRNA-seq)
,
IGFBP7
Keyword:
心不全
,
シングルセルRNAシークエンス(scRNA-seq)
,
IGFBP7
pp.765-768
発行日 2025年11月29日
Published Date 2025/11/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu295090765
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心不全は世界で最も主要な死因であり,その複雑な病態解明と新規治療法の開発が喫緊の課題となっている.近年,シングルセルRNAシークエンス(scRNA-seq)やシングルヌクレウスRNAシークエンス(snRNA-seq)の進展により,心筋細胞のみならず非心筋細胞を含めた多様な細胞種の役割が明らかになりつつある.特にsnRNA-seqは凍結心筋を含むヒト検体解析の標準となりつつあり,臨床応用に直結する大規模コホート研究の基盤を形成している.筆者らは心不全モデルマウスにおいて,老化内皮細胞由来のIGFBP7が心筋のインスリンシグナル伝達を阻害し,ミトコンドリア機能不全を惹起する機序を解明し,ワクチン療法の有効性を示した.さらに,空間トランスクリプトームやSIMOなどの統合的解析技術により,空間的・多層的観点から心不全病態を包括的に理解できる時代が到来している.シングルセル解析は今後,心不全研究に不可欠な手法として発展し続けるであろう.

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