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第1土曜特集 エピゲノム編集の進歩と医療応用への道
小児脳腫瘍における治療標的としてのエピゲノム編集
-――基礎研究が紡ぐ臨床応用への展望
Harnessing epigenome editing for pediatric brain tumors
――A new frontier in translational neuro-oncology
鄒 鶤
1
,
河田 健斗
1,2
,
川内 大輔
1
Kun ZOU
1
,
Kento KAWATA
1,2
,
Daisuke KAWAUCHI
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科脳神経科学研究所腫瘍・神経生物学分野
2慶應義塾大学大学院医学研究科小児科
キーワード:
小児脳腫瘍
,
エピゲノム
,
CRISPRゲノム編集
Keyword:
小児脳腫瘍
,
エピゲノム
,
CRISPRゲノム編集
pp.469-475
発行日 2025年11月1日
Published Date 2025/11/1
DOI https://doi.org/10.32118/ayu295050469
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小児脳腫瘍は依然として治療が難しく,髄芽腫や上衣腫などでは分子標的薬が非常に限定されることが課題となっている.最近の研究から,これらの腫瘍ではエピゲノム(DNAメチル化やヒストン修飾など,遺伝子の働きを調節する仕組み)の異常が,がんの性質の悪化や薬剤への抵抗性に関わっていることがわかってきた.SHH型髄芽腫ではNFIBやNeurod1などの遺伝子を調節する領域ががんの進行に重要とされ,上衣腫ではがん細胞と周囲の神経細胞のやり取りもエピゲノムに影響を与えることが示されている.これらの知見をいかし,CRISPR-dCasに代表される新技術でエピゲノムそのものを人工的に制御する新たな治療法の可能性が注目されている.本稿では,小児脳腫瘍のエピゲノム異常に関する最新の研究と,それを標的とした診断・治療応用への展望を紹介する.

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