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第1土曜特集 分子基盤に基づくメカノバイオロジーの臨床応用最前線
発生・再生・修復のメカノバイオロジー
神経回路形成を担うメカノバイオロジー機構
Mechanobiology for neuronal network formation
嶺岸 卓德
1
,
稲垣 直之
1
Takunori MINEGISHI
1
,
Naoyuki INAGAKI
1
1奈良先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科バイオサイエンス領域神経システム生物学
キーワード:
神経細胞の移動
,
軸索ガイダンス
,
シナプス形成・可塑性
,
Shootin1
,
クラッチ分子
Keyword:
神経細胞の移動
,
軸索ガイダンス
,
シナプス形成・可塑性
,
Shootin1
,
クラッチ分子
pp.940-947
発行日 2025年9月6日
Published Date 2025/9/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu294100940
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運動や学習をはじめとするさまざまな脳の高次機能は,複雑な神経回路網の働きにより支えられている.発生段階において,脳内の神経細胞はそれぞれの目的地に移動した後,適切な標的となる細胞に向けて軸索を伸長し,シナプスを形成することで神経回路を形成する.これらの過程では,神経細胞が細胞外環境に応答して移動や形態変化のための力を生み出すことが必要となる.これまでの研究から,神経細胞の軸索形成を担う分子として同定されたShootin1が,神経細胞の移動や形態変化のための力の生成を担うことが明らかとなった.さらにShootin1の解析を通じて,神経細胞の移動,軸索ガイダンス,シナプス形成・可塑性を担う,神経回路形成の力学機構が分子レベルでわかりつつある.また,神経細胞の移動と同様な仕組みで,Shootin1の異常な高発現が悪性グリオーマの浸潤を促進することが示された.本稿では,最近明らかになった,Shootin1による力の生成や機械受容チャネルによる力の受容を介した神経回路形成を担うメカノバイオロジー機構と,その破綻による病態について解説する.

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