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第1土曜特集 分子基盤に基づくメカノバイオロジーの臨床応用最前線
メカノセンシングの分子基盤と疾患
焦点接着斑と接着結合の力学状態による細胞増殖の制御
-――がん細胞増殖との関連
Regulation of cell proliferation by the mechanical status of focal adhesion and adherens junction
――Relationship with cancer cell proliferation
平田 宏聡
1,2
,
大西 芙満
1
,
曽我部 正博
2
Hiroaki HIRATA
1,2
,
Fumi OHNISHI
1
,
Masahiro SOKABE
2
1金沢工業大学バイオ・化学部 生命・応用バイオ学科
2金沢工業大学人間情報システム研究所
キーワード:
接触阻害
,
足場依存性
,
がん細胞
,
FAK
Keyword:
接触阻害
,
足場依存性
,
がん細胞
,
FAK
pp.881-887
発行日 2025年9月6日
Published Date 2025/9/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu294100881
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われわれの体を形づくる組織や器官の形態や機能は,これらを構成する細胞が細胞外基質や隣接する細胞と接着することで維持されている.さまざまな接着構造が知られているが,とりわけ細胞外基質との接着構造である “焦点接着斑” と,隣接細胞との接着構造である “接着結合” は,その細胞質側がアクチン線維とミオシン線維を含む収縮性束構造と連結しており,接着構造に引張力が負荷されている点が特徴的である.この引張力は細胞増殖の制御に強く関与しており,焦点接着斑への引張負荷は細胞増殖を促進する一方,接着結合への引張負荷は細胞増殖を抑制する.がん細胞では,これらの接着構造にかかる引張力や,それに応答するシグナル機構に異常が生じ,このことががん細胞の自律的増殖に深く関わることが明らかになってきた.がん細胞の接着構造の力学状態を人為的に操作することで,その増殖を抑制する試みも始まっている.

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