Japanese
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特集 細胞接着の制御
シアリダーゼによる細胞接着の制御
Regulation of cell adhesion by sialidase
高橋 耕太
1
,
塩崎 一弘
2
,
宮城 妙子
1
Kohta Takahashi
1
,
Kazuhiro Shiozaki
2
,
Taeko Miyagi
1
1東北薬科大学 分子生体膜研究所 がん糖鎖制御学
2鹿児島大学 水産学部 生物化学
pp.273-278
発行日 2013年6月15日
Published Date 2013/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101452
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動物細胞の表層はタンパク質や脂質に結合した糖鎖で密に複雑に修飾されている。生体内のシアル酸のほとんどはこの表層膜から細胞外へ突き出す糖鎖の末端に位置し,そのかさ張った疎水性や負電荷性などの性質によって多くの糖鎖分子の機能に影響を与えている。したがって,糖鎖からシアル酸を脱離する糖分解酵素であるシアリダーゼは,糖鎖分子の異化分解を促進するだけでなく,糖鎖分子のコンホメーションや分子間や細胞間の認識機構を変化させることにより,細胞の接着や免疫機構などの重要な細胞現象に深くかかわっている。細胞接着には細胞-細胞間と細胞-細胞外マトリックス間の2種があり,接着分子の分子間相互作用や細胞外マトリックスとの接着構造形成によって接着が起こる。細胞膜に存在する多くの糖タンパク質が接着分子として働いているので,シアリダーゼによってこれらの膜タンパク質糖鎖からシアル酸が脱離されると,細胞接着が変化を受けることになる。
現在,動物細胞では細胞内局在や基質特異性の異なる4種のシアリダーゼ(NEU1-NEU4)が同定されているが,事実,これらの酵素の特徴に応じて,直接的に,あるいは間接的に細胞接着を制御していることがわかってきた。本稿では主な接着分子として知られているインテグリン,セレクチン,神経接着分子(NCAM)による細胞接着について,シアリダーゼがその下流分子のシグナリングの修飾などを介して制御するという筆者らの最近の研究結果を中心に紹介したい。
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