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第1土曜特集 頭痛診療の新潮流――神経科学の進歩がもたらす治療戦略
二次性頭痛
頭部外傷および開頭術による頭痛の最新知見
Current findings in headache attributed to head trauma and craniotomy
石川 栄一
1
Eiichi ISHIKAWA
1
1筑波大学医学医療系脳神経外科
キーワード:
外傷後頭痛
,
開頭術後頭痛
,
持続性頭痛
,
カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)関連製剤
Keyword:
外傷後頭痛
,
開頭術後頭痛
,
持続性頭痛
,
カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)関連製剤
pp.418-421
発行日 2025年8月2日
Published Date 2025/8/2
DOI https://doi.org/10.32118/ayu294050418
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頭頸部外傷・傷害による頭痛は,日常診療において多くの患者が経験する疾患である.本疾患は頭部外傷,むち打ち,開頭術の3つの外的要因から生じた頭痛であり,定義や分類は確立されつつあるが,特に持続性頭痛のメカニズムや最善の治療法など未解決な部分が多い.本稿では,近年の研究成果に基づき,頭部外傷および開頭術による頭痛の最近の知見について解説する.頭部外傷による頭痛は女性に多く,一次性頭痛の既往や精神障害の共存などの危険因子が報告されている.MRIによる構造解析では,主な所見として情動的疼痛処理と認知機能に関与する脳領域の変化が報告されている.治療に関しては,急性期治療薬〔アセトアミノフェン,NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)など〕および予防療法(抗うつ薬など)に加え,新規予防薬としてカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)関連製剤に関する臨床研究が行われている.さらに,開頭術後の頭痛に関しても有効性が期待できる治療の報告が散見されている.頭頸部外傷・傷害による頭痛は多因子性の疾患であり,最善の治療法の確立のために,今後もさまざまなアプローチからの研究が必要である.

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