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特集 健康と医療を革新する数理工学――数学を医学に活かす!
人流データ分析と,介入を考慮した感染症数理モデル
Human mobility data analysis, and infectious disease models incorporating interventions
藤原 直哉
1,2
,
Yunhan Du
1
Naoya FUJIWARA
1,2
,
Yunhan DU
1
1東北大学大学院情報科学研究科
2科学技術振興機構
キーワード:
人流
,
感染症数理モデル
,
介入
Keyword:
人流
,
感染症数理モデル
,
介入
pp.161-166
発行日 2025年7月12日
Published Date 2025/7/12
DOI https://doi.org/10.32118/ayu294020161
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パンデミックにより,現代社会が感染拡大に脆弱であることが明らかになった一方,感染拡大の可視化などにおいて新たな技術が活用された.本稿では,筆者らが最近行った関連研究を紹介する.前半では,地域間の人口流動量の新たな集計法について解説を行う.従来の集計法に基づいて人流シミュレーションを実行すると,人の帰宅行動を再現することができず,感染拡大を過大推定してしまうこととなるが,集計に自宅位置を含めることでこの問題を改善できることを示す.後半では,介入を考慮した感染症数理モデルを理論的に考察する.1回のみ介入を行う場合を検討し,感染者数のピークが最小となる介入実施のタイミングが存在することを示したほか,介入強度が強すぎないほうがピークを最小化できる可能性を示した.将来的には人流分析と感染症数理モデルの枠組みを結合することにより,地理空間上での感染拡大を従来より精緻にモデル化し,適切な感染拡大対策の立案に貢献することを目指すものである.

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