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第1土曜特集 肥満症――代謝異常から全身性疾患へのパラダイムシフト
肥満関連疾患の治療戦略
運動器疾患への肥満/肥満症の影響と減量の効果
The impact of obesity and the effect of weight loss on musculoskeletal diseases
石橋 英明
1
Hideaki ISHIBASHI
1
1伊奈病院整形外科
キーワード:
肥満/肥満症
,
運動器疾患
,
変形性関節症
,
変形性脊椎症
,
GLP-1関連薬
Keyword:
肥満/肥満症
,
運動器疾患
,
変形性関節症
,
変形性脊椎症
,
GLP-1関連薬
pp.980-983
発行日 2025年6月7日
Published Date 2025/6/7
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293100980
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肥満は下肢や体幹への荷重負荷を増やすため,下肢関節や脊椎に関わる運動器疾患の発症や増悪因子となりやすい.肥満症の診断基準にも,関連する11疾患に変形性膝関節症や変形性脊椎症といった運動器疾患が含まれている.このように肥満/肥満症と運動器疾患の関連は深い.変形性膝関節症は肥満によって病期の進行や症状の悪化がみられ,減量によって症状が改善し,減量と運動療法の併用により疼痛改善効果がさらに増すとされている.また,変形性股関節症も肥満によって発症リスクが上がり,減量によって症状が軽減することが報告されている.変形性腰椎症や腰痛は,肥満やBMI増加が発症リスク上昇につながるが,減量効果についてのエビデンスは少ない.骨粗鬆症は体重が増えると発症リスクは低下するが,肥満は転倒リスクを上げる.つまり,やせも肥満も骨折リスクにつながるといえる.最近,糖尿病や肥満症治療に用いられているGLP-1関連薬が,減量効果とともに変形性膝関節症の症状を軽減させたり,手術になる確率を低減させたりすると報告された.発展が期待される分野である.

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