Japanese
English
連載 細胞を用いた再生医療の現状と今後の展望――臨床への展開・Vol.16
歯根膜由来間葉系幹細胞シートを用いた歯周組織の再生
Periodontal regeneration with periodontal ligament-derived mesenchymal stromal cell(PDLMSC)sheets
岩田 隆紀
1
Takanori IWATA
1
1東京科学大学大学院医歯学総合研究科歯周病学分野
キーワード:
歯周組織再生
,
細胞シート
,
間葉系細胞
Keyword:
歯周組織再生
,
細胞シート
,
間葉系細胞
pp.255-260
発行日 2025年4月19日
Published Date 2025/4/19
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293030255
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
SUMMARY
組織工学の概念がLangerとVacanti1)に提唱されてから,再生医療研究は,①担体(スキャフォールド),②細胞,③特異的な細胞活性を促進するシグナル分子,の三要素をいかに構築するかに向けられてきた.外科手術を伴う場合ではさらに,適切な一次創傷閉鎖による④血餅の安定と⑤血管新生の促進,も再生の効果を高めるうえで非常に重要であろう.そのなかでも最も入手困難な②の細胞は,創傷治癒やその後に引き起こされると考えられている組織再生の中心的な役割を担っているが,体外で培養をしなければ増やすことは困難であり,患者自身に内在する細胞のみに効果を期待するのが現状の再生療法であった.しかしながら,幹細胞技術の発展に伴い,細胞を体外で増やす技術が一般化し,「再生医療」(ここで言う再生医療とは細胞を用いた治療技術を指す)が歯周組織の再生にも応用されてきた.既存の治療法では克服できない疾患(unmet medical needs;アンメットメディカルニーズ)を改善しうる報告が相次いでいる一方,その製品管理や安全性に関しては検討項目が多く,現状では多大なコストがかかるため,普及の障壁となっている.
本稿では細胞治療を実施するために必要な要件とその普及に向けて筆者が取り組んできたことを紹介するとともに,現時点での問題点と克服すべき課題を述べたい.

Copyright © 2025 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.