Japanese
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特集 進歩する循環器低侵襲治療
僧帽弁MICSの現状と今後の展望
Current status and future perspectives of minimally invasive mitral valve surgery
西 宏之
1
Hiroyuki NISHI
1
1東海大学医学部付属八王子病院心臓血管外科
キーワード:
僧帽弁MICS(低侵襲心臓手術)
,
鏡視下手術
,
ロボット手術
,
手術トレーニング
,
標準化
,
安全性
Keyword:
僧帽弁MICS(低侵襲心臓手術)
,
鏡視下手術
,
ロボット手術
,
手術トレーニング
,
標準化
,
安全性
pp.887-892
発行日 2025年3月15日
Published Date 2025/3/15
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292110887
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1990年代のアメリカから始まり,日本でもムーブメントが起こった僧帽弁手術に対するMICS(低侵襲心臓手術)は,最初は一部の心臓血管外科医のみにより行われていた.2000~2010年にかけてドイツを中心として新しい器具の開発とともに少しずつ症例が増加傾向となり,日本でも多くの施設で積極的に行われるようになった.2018年に保険償還が認められたことでさらに施行割合は増え,現在では僧帽弁手術の半分近くを占めるに至っている.初期の死亡率は比較的高かったが,手術の合併症や対応策が明らかになるにつれて成績が安定してきた.アプローチも徐々に進化しており,当初は直視で行われていたが,2D,3Dと内視鏡のクオリティが上がるにつれて創部は小さくなり,鏡視下アプローチも広く行われるようになった.さらにDa Vinciの登場によりロボット手術も進んでいる.胸骨を温存し,視野が良好なMICSは今後スタンダードな治療になっていくと考えられる.現在はさまざまなトレーニングプログラムが施行されており,教育の面からもより安全な僧帽弁MICSの普及を目指した活動が行われている.今後はより高いエビデンスを創出しつつ,僧帽弁MICSの利点を明らかにし,適応を明確化し,方法をより標準化していく必要がある.MICSの発展の最先端を僧帽弁MICSは今後も進んでいくと思われる.

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