ひとこと
単体から複合体へ
永井 諄爾
1
1中村学園大
pp.10-11
発行日 1975年1月1日
Published Date 1975/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200666
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血清コレステロール定量を通じて進歩したもの
病院で行われる臨床検査が中央化され,専任の検査技師が配置されて,わが国で近代的な意味での臨床検査が行われるようになってから,すでに20年を越えるほどになりました.皆さんがたの先輩や,指導に当たった先生がたの,少し過剰な表現かもしれませんが,血のにじむほどの努力によって,よくもここまで到達したものだと,今さらながら感嘆せずにはおられません.
ふり返ってみますと,いろいろの思い出があります.わたしのいささか不確実な記憶によれば,今日までの臨床検査の進歩の1つの断面は,血清コレステロールの測定に浮き彫りされているように思います.コレステロールはよく知られているように,脂質の1つです.脂質はそれ自身では,水に不溶性の物質です.したがってコレステロールを定量するためには,まず有機溶媒でそれを抽出分離して,それから発色反応を起こさせて比色定量していました.
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