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特集 生物学的相分離と計測技術
タンパク質液滴からの線維形成の速度論的解析法
Kinetic analysis method of amyloid formation from protein droplets
福山 真央
1
Mao FUKUYAMA
1
1東北大学多元物質科学研究所ナノ・マイクロ計測化学研究分野
キーワード:
タンパク質線維
,
液–液相分離(LLPS)
,
核形成
Keyword:
タンパク質線維
,
液–液相分離(LLPS)
,
核形成
pp.299-302
発行日 2025年1月25日
Published Date 2025/1/25
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292040299
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タンパク質の線維凝集体形成は生体内でユビキタスな現象である一方で,アルツハイマー病,筋萎縮性側索硬化症,ハンチントン病,パーキンソン病などの疾患に関与していることが知られている.近年,線維を形成するタンパク質の多くが,液–液相分離(LLPS)により細胞内で小さな液状の集合体(液滴)を形成することが報告された.これらの液滴中ではタンパク質が通常数百mg/mLの濃度で凝縮されているため,液滴は線維核形成の潜在的な部位と考えられている.線維形成は核形成依存的なプロセスであり,最初期過程の核形成が律速段階であると考えられている.核形成の定量的な議論は線維形成のメカニズム理解の観点で重要である一方で,核形成は遅い現象であることや,一度核形成が起こると系の平衡が動いてしまうことが問題となり困難であった.そこで筆者らは,共焦点顕微鏡を用いて液滴からの線維核形成を長期観察することで線維の核形成を定量する手法を確立した.実例として,酵母プリオンタンパク質であるSup35NMドメインの線維核形成速度を解析した.
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