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第1土曜特集 生殖医学――基礎研究と実地診療の進歩
精子幹細胞研究アップデート
-――不均一で動的な幹細胞プール
Sperm stem cell research update
――Heterogeneous and dynamic stem cell pools
吉田 松生
1
Shosei YOSHIDA
1
1自然科学研究機構基礎生物学研究所生殖細胞研究部門
キーワード:
精子形成
,
幹細胞
,
ライブイメージング
,
パルス標識
,
動態解析
Keyword:
精子形成
,
幹細胞
,
ライブイメージング
,
パルス標識
,
動態解析
pp.899-905
発行日 2024年12月7日
Published Date 2024/12/7
DOI https://doi.org/10.32118/ayu291100899
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平均的なヒト男性は,数十年にわたり毎秒約1,000個の精子を作る.この高い生産性を支える細胞が “精子幹細胞” である.“精子幹細胞” はどの細胞で,精巣組織内でどのようにふるまうことで持続する精子形成を支えるのか.歴史的には,固定標本の詳細な形態学的解析から同定された “未分化型精原細胞” と,機能的に定義される “精子幹細胞” の対応関係が焦点となり,シンプルな仮説が定着していた.筆者らは,ライブイメージングやパルス標識実験という,精巣組織内で時間を越えた細胞挙動を直接解析できる手法を導入し,“精子幹細胞” の機能的理解を試みてきた.その結果,“精子幹細胞” は従来想定されていたような決定論的な存在ではなく,複数の状態を転換しながら確率論的に運命挙動を選択することが明らかになってきた.その結果,安定的に不均一な集団を形成することで幹細胞としての機能を果たすというダイナミックな姿が浮かび上がってきた.
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