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特集 進化する胎児治療――研究と臨床の最新情報
先天性代謝異常症に対する胎児治療
-――胎児への酵素補充療法
In utero enzyme replacement therapy for congenital metabolic disorders
北村 直也
1,2
,
長谷川 瑛洋
1,2
,
佐村 修
2
Naoya KITAMURA
1,2
,
Akihiro HASEGAWA
1,2
,
Osamu SAMURA
2
1国立成育医療研究センター再生医療センター細胞医療研究部
2東京慈恵会医科大学産婦人科学講座
キーワード:
胎児治療
,
ライソゾーム病
,
胎児期酵素補充療法
Keyword:
胎児治療
,
ライソゾーム病
,
胎児期酵素補充療法
pp.601-604
発行日 2024年11月23日
Published Date 2024/11/23
DOI https://doi.org/10.32118/ayu291080601
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先天性代謝異常症に対する酵素補充療法は,疾患特有の症状を軽減し患者のQOLを大きく向上させた.従来は対症療法に限定されていた治療戦略において,酵素補充療法の出現は重要な転換点となった.疾患によっては胎児期から病状が進行するため,酵素補充療法を妊娠中から導入することが近年検討され始めた.胎児期の治療介入には,病状進行の早期抑制にとどまらず,制御性T細胞(Treg)を介した抗酵素抗体の産生予防や,血液脳関門の未熟性による脳内への酵素送達などのメリットがある.2021年からはカリフォルニア大学で先天性代謝異常症に対する胎児期酵素補充療法の臨床試験が開始された.1例目となる乳児型ポンペ病(IOPD)での治療報告が既になされており,胎児期酵素補充療法の有用性が示された.胎児期の治療介入に必要な酵素製剤の開発も活発であり,今後も治療適応が拡大される可能性がある.
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