FORUM 戦争と医学・医療④
紛争と医療支援
小杉 郁子
1
1福井県済生会病院外科
pp.504-505
発行日 2024年11月9日
Published Date 2024/11/9
DOI https://doi.org/10.32118/ayu291060504
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筆者は市中病院で非常勤医師として勤務しながら,国境なき医師団(Médecins Sans Frontières:MSF)の外科医師としても活動している.MSFは医療へのアクセスが困難な人々に医療を届ける活動を行う民間・非営利の人道・医療援助団体である.活動地の例として「難民キャンプ」「紛争地」「自然災害発生地」「感染症流行地」「病院・薬がない地域」などがあるが,紛争地1)では外傷治療の医療ニーズが大きいため,外科系医師や麻酔科医,救急医,手術室看護師が支援に赴くことが多い.筆者もこれまで派遣された5カ国6カ所(ナイジェリア,イエメン2回,カメルーン,パレスチナ・ヨルダン川西岸地区)のすべてが紛争地であった.派遣者はどの職種であっても医療支援が必要である理由を歴史や政治的・文化的背景を含めて詳しく説明され,理解したうえで派遣地に赴く.現地では活動を通して人々が直面するさまざまな困難を実感する.
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