特集 喘嗚がある患者に出会ったら―病態をカテゴライズして診断する
[Chapter 5] アレルギー/膠原病と喘鳴
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)
佐々木 信一
1
1順天堂大学医学部附属浦安病院 呼吸器内科
キーワード:
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)
,
MPO-ANCA
,
遅発性・重症喘息
,
mepolizumab
Keyword:
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)
,
MPO-ANCA
,
遅発性・重症喘息
,
mepolizumab
pp.1138-1142
発行日 2023年5月1日
Published Date 2023/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika131_1138
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
▪好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)は,まれな全身性炎症性疾患であり,遅発性の喘息,好酸球増加,小~中程度の血管を侵す血管炎によって特徴づけられる.
▪典型的には三つの段階を経て進行する.第1相:喘息および好酸球性副鼻腔炎の時期,第2相:好酸球増多,好酸球性肺炎,喘息悪化(難治性喘息)の時期,第3相:全身性血管炎発症の時期,である.
▪EGPAの抗好中球細胞質抗体(ANCA)陽性率は40~50%程度であり,ANCA陽性例では,ANCA陰性例に比して腎病変,末梢神経病変,耳鼻咽頭病変が多く,心臓病変が少ないことが示されている.
▪病因論は不明な点が多いが,遺伝的要因としてはヒト白血球抗原(HLA)遺伝子に関し,HLA-DRB4やDRB1*04,DRB1*07,DRB1*09遺伝子が発症に関連し,外的要因としては環境因子,感染症,薬剤などさまざまな仮説が報告されている.
▪近年,グルココルチコイドの効果が不十分なEGPA症例に対するmepolizumab(抗IL-5抗体薬)の有効性が報告され,2018年にわが国でも保険承認された.
© Nankodo Co., Ltd., 2023