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第5土曜特集 内分泌疾患の温故知新――日本内分泌学会創設100周年を目前にして
甲状腺
バセドウ病の成因・診断・治療
The pathogenesis, diagnosis, management of Graves’ disease
稲葉 秀文
1
Hidefumi INABA
1
1和歌山県立医科大学医学部生理学第二講座
キーワード:
甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR)
,
ヒト白血球抗原(HLA)
,
抗甲状腺薬(ATD)
,
抗原特異的新規治療法
Keyword:
甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR)
,
ヒト白血球抗原(HLA)
,
抗甲状腺薬(ATD)
,
抗原特異的新規治療法
pp.668-674
発行日 2024年8月31日
Published Date 2024/8/31
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290090668
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バセドウ病(GD)は,甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR)に対する抗体(TRAb)による臓器特異的自己免疫疾患である.GDの発見以来およそ200年弱の間,GDの成因,診断,治療についてさまざまな進歩を認めた.GDにおいてはTRAbが持続的に甲状腺を刺激するため甲状腺機能亢進症が発症し,過剰な甲状腺ホルモンによって全身臓器の機能が障害される.近年は,甲状腺ホルモンやTRAb測定法の進歩に加え,甲状腺超音波検査や甲状腺シンチグラフィ検査などが普及したことにより,臨床現場におけるGDの診断レベルが向上している.一方で,GDの治療としてはこれまで抗甲状腺薬(ATD),131I内用療法(アイソトープ治療),甲状腺手術療法に加え,無機ヨウ素が用いられているが,それらの治療法は約80年以上の間,大きな変化がみられない.近年では,TSHRに対するモノクローナル抗体,小分子化合物,TSHR関連ペプチドなどを用いたGDの新規治療が開発されつつあり,今後の研究発展が期待されている.
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