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連載 自己指向性免疫学の新展開――生体防御における自己認識の功罪・Vol.4
薬物により自己への認識様態を変化するHLAとそれが持つ特徴的な細胞内挙動
The HLAs with altered self-recognition by drugs and their characteristic intracellular behaviors
青木 重樹
1
Shigeki AOKI
1
1千葉大学大学院薬学研究院生物薬剤学研究室
キーワード:
ヒト白血球抗原(HLA)
,
薬物過敏症
,
β2ミクログロブリン
,
副作用
,
小胞体
Keyword:
ヒト白血球抗原(HLA)
,
薬物過敏症
,
β2ミクログロブリン
,
副作用
,
小胞体
pp.199-203
発行日 2024年7月13日
Published Date 2024/7/13
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290020199
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SUMMARY
ヒト白血球抗原(HLA)は,臓器移植などの際に問題となる多様性に富んだ分子であり,非自己を選別し,T細胞に免疫活性化シグナルを送るものとして広く知られている.2000年以降,特定のHLA分子が薬物服用時の重篤な副作用にかかわることが示唆されだし,自己への認識様態が変化した結果と捉えられている.その副作用は,T細胞依存性のアレルギー反応と考えられ,マウスモデルを用いた発症機序の解明が進められている.さらに,T細胞にシグナルを送る役割を担うHLAが,細胞内で特徴的な翻訳後修飾・輸送を受けていることも近年見出されてきた.つまり,HLAの役割は,細胞表面上でのT細胞への抗原提示にとどまらず,細胞のなかから発する自然免疫様反応にまで広がる可能性がある.動物レベル・分子レベルの研究成果を統合的に解釈することで,HLAがどのように自他を識別し,副作用や病態につながっていくのか考えたい.
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