Japanese
English
第1土曜特集 “かたちづくり” を制御する分子メカニズム
形態形成と病態・疾患
臓器形成と代謝
-――シグナル分子として代謝産物
Organ morphogenesis and metabolism
――Metabolites as morphogen
中野 治子
1
,
中野 敦
1,2,3
Haruko NAKANO
1
,
Atsushi NAKANO
1,2,3
1Department of Molecular, Cell, and Developmental Biology, University of California, Los Angeles
2Department of Medicine, Cardiology Division, University of California, Los Angeles
3東京慈恵会医科大学細胞生理学講座
キーワード:
代謝
,
臓器形成
,
レチノイン酸(ビタミンA)
,
葉酸
,
糖代謝
Keyword:
代謝
,
臓器形成
,
レチノイン酸(ビタミンA)
,
葉酸
,
糖代謝
pp.113-117
発行日 2024年7月6日
Published Date 2024/7/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290010113
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代謝は,エネルギー基質の異化作用,細胞構築に必要な中間代謝産物を供給する同化作用があるが,近年,生体分子シグナルの修飾という第3の役割に注目が集まっている.代謝産物の形態形成への関与は古くから指摘され,ビタミンB群の葉酸は神経管閉鎖への関与,ビタミンAの活性型であるレチノイン酸(RA)はその欠乏・過剰の双方が個体発生に影響を与えることはよく知られている.RAシグナルは心臓発生において流出路形成,心室壁形成,冠動脈形成などさまざまな時期・部位で影響を与える.糖代謝異常についても,心奇形発症のメカニズムに関する新たな知見が増えた.高血糖下の胎仔心臓では,特に前方の心臓前駆細胞群でRA経路の亢進による後方化が生じることがわかった.また,母体糖尿病環境下での胎児臓器の網羅的代謝解析も報告された.本稿では代謝と臓器形成,主に心臓の発生に関わる古今の報告を紹介する.
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