特集 心臓造形生物学:Heartができるメカニズム
Cell Tech Eye 発生初期には心臓が造血器官となる
中野 治子
1
,
中野 敦
1米国
1Department of Molecular Cell and Developmental Biology, Broad Stem Cell and Regenerative Medicine University of California
キーワード:
心臓
,
造血
,
造血幹細胞
,
器官形成
,
大動脈
,
血小板膜糖タンパク質IIb
,
胚発生
,
Homeobox Protein Nkx-2.5
Keyword:
Aorta
,
Homeobox Protein Nkx-2.5
,
Heart
,
Hematopoiesis
,
Hematopoietic Stem Cells
,
Platelet Membrane Glycoprotein IIb
,
Organogenesis
,
Embryonic Development
pp.1179-1180
発行日 2014年10月22日
Published Date 2014/10/22
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- 文献概要
循環系は,哺乳類の発生初期において最初に形成される器官系 である.あまり知られていないが,この循環系を担う二大構成要 素である心臓(ポンプ)と大動脈(導管)は,胎生初期に別個に形成 されるが,構造的・機能的・遺伝子的に類似しており,その初期形 成の機序は少なからず共通するものと思われる.1つ大きく異な る点は,大動脈が胚発生期においては血球細胞産生器官としても 機能するのに対して,同様の血球産生能が心臓に存在するのか,い まだに明らかになっていないことである.例えば多能性幹細胞培 養系では心筋細胞と血球の分化が関連していることはよく知られ ているし1),ショウジョウバエでは心筋細胞と血球細胞がtinman (Nkx2-5 homologue)遺伝子を発現する共通の前駆細胞に由来す ることが示されている2),3) .小型魚類でも心内膜に血球前駆細胞 様の細胞が出現することが古くに報告されている4) .では,いった い哺乳類の胎生期心臓には血球産生能があるのだろうか? もしそ うだとすれば,いつ・どこで・どのようなメカニズムで血球が形 成されるのだろうか?
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