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第1土曜特集 “かたちづくり” を制御する分子メカニズム
形態形成の理論と進化
データ駆動型アプローチによる器官形態形成研究
-――組織変形動態の定量解析を起点に形態形成則の解明を目指して
Data-driven approach to organ morphogenesis research
森下 喜弘
1
Yoshihiro MORISHITA
1
1理化学研究所生命機能科学研究センター発生幾何研究チーム
キーワード:
データ駆動型研究
,
組織変形
,
細胞力覚
,
形態形成則
Keyword:
データ駆動型研究
,
組織変形
,
細胞力覚
,
形態形成則
pp.60-68
発行日 2024年7月6日
Published Date 2024/7/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290010060
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器官形態形成過程の仕組みを理解するための研究アプローチには,研究者の興味や専門に依存して複数存在する.ここでは,筆者らが行っているデータ駆動型研究を紹介する.特に形態形成過程の物理的記述である組織変形動態を,ライブイメージングデータから定量し,その情報を起点に形態形成則の解明に迫る.組織変形やその定量について簡単に触れた後,具体的な研究例として,脊椎動物の前脳初期発生がソニック・ヘッジホッグ(SHH)シグナル依存的な細胞力覚を通じた細胞極性動態によって駆動されること,また,細胞力覚の喪失が先天性奇形のひとつである単眼症の物理的発症機構となることを紹介する.さらに,脊椎動物の四肢発生過程を例に,組織変形動態を定量的に種間比較する数理的解析手法を提案・応用し,四肢の基本的な構造ができるまでの発生ステージにおいて,組織動態が種を超えて高度に保存されていることをみる.
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