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第1土曜特集 “かたちづくり” を制御する分子メカニズム
形態形成の分子メカニズム
モルフォゲン研究からみえてきた発生ロバストネスの分子基盤
Molecular and cellular basis underlying developmental robustness revealed by morphogen studies
石谷 太
1
Tohru ISHITANI
1
1大阪大学微生物病研究所環境応答研究部門生体統御分野
キーワード:
エラー修復
,
発生ロバストネス
,
モルフォゲン
,
細胞競合
,
遺伝的補償
,
ゼブラフィッシュ
Keyword:
エラー修復
,
発生ロバストネス
,
モルフォゲン
,
細胞競合
,
遺伝的補償
,
ゼブラフィッシュ
pp.22-28
発行日 2024年7月6日
Published Date 2024/7/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290010022
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20世紀後半からの分子生物学・モデル生物解析の爆発的な発展によって,多細胞生物の発生・再生プログラムの大要が明らかにされた.発生・再生における細胞の増殖,分化,移動の全体像,それらを制御する細胞内・細胞間シグナル,遺伝子発現制御の詳細の多くの部分がすでに明らかにされている.しかし一方で,発生・再生システムの高度な再現性や頑強性(ロバストネス)を支える仕組みについてはあまり理解が進んでいない.温度変化や放射線などの環境ストレスや発生・再生中の組織で起こる活発な細胞分裂や細胞運動は,複製エラー,突然変異,シグナル・遺伝子発現の乱れなど,さまざまなエラーを引き起こすと推測されるが,これらのエラーをどのように乗り越えて再現性の高い発生・再生が実現されるのかはよくわかっていない.筆者らは最近,モルフォゲンに注目した研究から,細胞競合や遺伝的補償を介した発生ロバストネスのメカニズムを見出すことに成功した.本稿では,これら最新の成果を紹介させていただきたい.
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