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第5土曜特集 血管・リンパ管研究の最前線と治療への展開
血管の炎症と老化
血管バリア機能の制御による重症感染症治療の可能性
Potential therapeutic strategies for severe infectious diseases by targeting vascular permeability
岡田 欣晃
1
,
白倉 圭佑
2
Yoshiaki OKADA
1
,
Keisuke SHIRAKURA
2
1大阪大学大学院薬学研究科臨床薬効解析学分野
2Max Planck Institute for Molecular Biomedicine
キーワード:
血管透過性
,
重症感染症
,
血管内皮細胞
,
クローディン-5(CLDN5)
,
Roundabout4(Robo4)
Keyword:
血管透過性
,
重症感染症
,
血管内皮細胞
,
クローディン-5(CLDN5)
,
Roundabout4(Robo4)
pp.1076-1081
発行日 2024年6月29日
Published Date 2024/6/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu289131076
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重症感染症の病態は,①病原体への曝露,②免疫系の活性化,③炎症性サイトカインの産生,④血管透過性亢進,などのプロセスを介して誘導される.これまでに最初の3つのプロセスに対して,抗病原体薬,ステロイド,サイトカイン機能抑制抗体などの医薬品が開発されてきた.しかし,これらを用いてなお重症感染症の治療が難しいことは,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の例からも明らかになっている.そこで筆者らは,いまだ治療薬の存在しない “血管透過性亢進” のプロセスを抑制する新機序薬の開発を目指し研究を行った.COVID-19の研究から,ウイルスが血管内腔を覆う内皮細胞間の接着を破綻させ,血管内侵入や肺水腫を誘導すること,また内皮細胞間接着に寄与するタンパク質(CLDN5,Robo4)の発現促進により,この接着破綻を抑制できることを示した.本稿では,血管透過性を標的とする新たな感染症治療薬の可能性について紹介したい.
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