今月の主題 肥満とやせ
総説
脂肪細胞の肥大化とインスリン抵抗性
江崎 治
1
Osamu EZAKI
1
1国立健康・栄養研究所代謝異常研究室
キーワード:
肥満
,
糖輸送体
,
インスリン作用
,
脂肪細胞
,
糖尿病
Keyword:
肥満
,
糖輸送体
,
インスリン作用
,
脂肪細胞
,
糖尿病
pp.353-357
発行日 1991年4月15日
Published Date 1991/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900545
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脂肪細胞が肥大化することとインスリンによる糖の細胞内取り込み量とがどのような関係にあるのか調べた.肥満のモデルラットとして,①老化による肥満ラット,②遺伝性(Zucker)肥満ラット,③高脂肪食肥満ラットを用い,脂肪細胞での糖の取り込み量と,この細胞に発現している2種類の糖輸送体(GLUT 1およびGLUT 4)の細胞内での分布を調べた.①のラットにおいてはGLUT 4は著明に低下したが,GLUT 1は基礎状態で形質膜に多く分布するようになり,結果としてインスリンによる糖取り込み作用は低下したがインスリンとは関係なしに糖を多く取り込むことがわかった.すなわちなぜ細胞が肥大化しながらインスリンの作用が低下するのか説明された.②においても同様にGLUT 1が形質膜へ多く分布するため①と同じような現象が生じた.③においてはGLUT 1もGLUT 4も低下し脂肪酸の細胞内流入が細胞の肥大化に重要であることを示唆した.
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