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特集 GLP-1受容体作動薬・GIP/GLP-1受容体作動薬――非臨床・臨床のエビデンスと実臨床における注意点
糖尿病関連腎臓病におけるGLP-1受容体作動薬とGIP/GLP-1受容体作動薬の腎保護作用に関する非臨床・臨床からのエビデンス
Clinical and experimental evidence for renal protective effects of GLP-1 receptor agonists and dual GIP/GLP-1 receptor agonist in diabetic kidney disease
藤田 浩樹
1
,
山田 祐一郎
2
Hiroki FUJITA
1
,
Yuichiro YAMADA
2
1秋田大学大学院医学系研究科代謝・内分泌内科学講座
2関西電力病院糖尿病・代謝・内分泌センター
キーワード:
GLP-1受容体作動薬
,
GIP/GLP-1受容体作動薬
,
2型糖尿病
,
糖尿病関連腎臓病
,
腎保護作用
Keyword:
GLP-1受容体作動薬
,
GIP/GLP-1受容体作動薬
,
2型糖尿病
,
糖尿病関連腎臓病
,
腎保護作用
pp.972-976
発行日 2024年3月23日
Published Date 2024/3/23
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28812972
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血糖依存的に膵β細胞からのインスリン分泌を促進する消化管ホルモンであるインクレチンの主要な構成因子glucagon-like peptide-1(GLP-1)と,gastric inhibitory polypeptideまたはglucose-dependent insulinotropic polypeptide(GIP)の受容体は,腎臓を含むさまざまな臓器において発現しており,それぞれの臓器で多彩な膵外作用を発揮していることが報告されている.GLP-1受容体作動薬は薬理学的濃度まで血中GLP-1濃度を上昇させることが可能であり,GLP-1受容体作動薬投与により腎臓内GLP-1受容体シグナルを顕著に増加させることで抗酸化作用が発揮され,慢性の高血糖状態下で腎臓内に増加した酸化ストレスの軽減を通じて糖尿病腎の保護に寄与することが基礎研究から明らかとなってきている.臨床研究においてもGLP-1受容体作動薬ならびにデュアルGIP/GLP-1受容体作動薬は,2型糖尿病患者での腎関連複合アウトカムのリスクを低下させることを示す複数のエビデンスが集積してきている.こうしたエビデンスを背景に,これらの2型糖尿病治療薬が今後,さらに増加が懸念される糖尿病関連腎臓病を合併した2型糖尿病患者に対する治療戦略として貢献することが期待されるところである.
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