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第5土曜特集 アルツハイマー病――研究と治療の最前線
予防・疫学
認知症の地域疫学研究の知見
Findings from community epidemiology studies of dementia
二宮 利治
1
Toshiharu NINOMIYA
1
1九州大学大学院医学研究院衛生・公衆衛生学分野
キーワード:
認知症
,
有病率
,
罹患率
,
危険因子
,
疫学研究
Keyword:
認知症
,
有病率
,
罹患率
,
危険因子
,
疫学研究
pp.1002-1008
発行日 2023年12月30日
Published Date 2023/12/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu287131002
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わが国では,超高齢社会を迎えて認知症患者の急増が医療・社会問題となっている.福岡県久山町で継続中の疫学調査の成績では,65歳以上の住民における認知症の粗有病率は,1985年の6.7%から2012年には17.9%と上昇した.一方,欧米諸国の疫学調査の成績では,認知症の有病率や罹患率が低下傾向にあるとの報告も散見される.また,最近の全世界における認知症者数の将来推計では,日本においては分析対象国のなかで最も増加率が低くとどまるとされている.さらに,久山町における2017年の認知症の有病率は15.6%であり,2012年以降さらなる上昇を認めなかった.この知見は,今後わが国においても認知症の有病率の増加傾向が鈍化することを示唆しているのかもしれない.認知症の発症リスクの低減を図るうえで,糖尿病や高血圧などの生活習慣病の予防や適切な管理に加え,禁煙,定期的な運動習慣,筋力維持,多様性のある食事などのさまざまな因子の包括的な対策を心がけることが重要であるといえよう.
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