Japanese
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特集 異所性脂肪と心血管病
腎周囲脂肪の臨床的意義
-――メタボリックシンドロームや慢性腎臓病との関連性
Clinical significance of perirenal fat:association with metabolic syndrome and chronic kidney disease
田辺 隼人
1
,
島袋 充生
1
Hayato TANABE
1
,
Michio SHIMABUKURO
1
1福島県立医科大学糖尿病内分泌代謝内科学講座
キーワード:
腎周囲脂肪
,
メタボリックシンドローム
,
肥満関連腎症(ORG)
,
2型糖尿病
Keyword:
腎周囲脂肪
,
メタボリックシンドローム
,
肥満関連腎症(ORG)
,
2型糖尿病
pp.214-218
発行日 2023年10月21日
Published Date 2023/10/21
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28703214
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肥満による異所性脂肪の蓄積と分布異常は,脂肪毒性を介してインスリン抵抗性を惹起し,メタボリックシンドロームや2型糖尿病の基盤となり,慢性腎臓病(CKD)の進行を促進する.異所性脂肪のひとつである腎周囲脂肪は,腎臓を取り囲むように後腹膜腔に位置し,ユニークな解剖学的特徴を持つ.その機能についてはいまだ解明されていないが,腎周囲脂肪がアディポネクチンを介して腎局所環境に影響を及ぼす可能性が示唆されている.最近では腎周囲脂肪とさまざまな代謝異常や腎障害との関連が報告され,心血管疾患やCKDのリスク要因として注目されている.腎周囲脂肪は腹部超音波を用いて非侵襲的に測定可能であり,メタボリックシンドロームやCKDの新たなバイオマーカーとしての可能性を秘めている.腎周囲脂肪への介入試験も進行中であり,CKD進展抑制の新たな治療ターゲットになるか,その研究結果が待たれる.
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