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特集 エムポックス(サル痘)の疫学・感染経路・症状・診療指針
エムポックスの臨床症状と診断方法
-――2023年1月現在
Clinical symptoms and diagnostic method of mpox
石金 正裕
1
Masahiro ISHIKANE
1
1国立国際医療研究センター病院国際感染症センター,同WHO協力センター,同AMR臨床リファレンスセンター
キーワード:
接触感染
,
性器病変
,
肛門周囲病変
,
行政検査
,
PCR
Keyword:
接触感染
,
性器病変
,
肛門周囲病変
,
行政検査
,
PCR
pp.661-665
発行日 2023年5月13日
Published Date 2023/5/13
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28507661
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今回の流行におけるエムポックス(サル痘)の主な感染経路は,性交渉時などの皮膚・粘膜接触である.そのため,非特異的な口腔内や肛門性器病変に注意する必要がある.さらに古典的な発熱,頭痛,リンパ節腫脹などの前駆症状がかならずしも認められないことも多い.臨床医は,①発疹,②発熱,③曝露歴(海外渡航歴,性交渉歴)からエムポックスを疑うべきである.エムポックスの主な鑑別疾患は性感染症,水痘と麻疹になる.空気感染対策が必要な水痘と麻疹が鑑別疾患になるので,エムポックスを疑ったら,水痘や麻疹が除外できるまでは空気感染対策が必要になる.また日本では2023年1月1日時点で,コマーシャルベースで診断体制が整っていない.エムポックスは感染症法上の4類感染症なので,エムポックスを疑ったらまず管轄の保健所に相談する.保健所と相談しながら皮膚病変(水疱や膿疱の内容液や蓋)などを採取し,都道府県の地方衛生研究所や国立感染症研究所に提出し,PCR検査を実施し診断を行う.
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