Japanese
English
第1土曜特集 自律神経のサイエンス
多岐にわたる自律神経の役割
発汗調整機構と発汗障害
Sweat regulation and sweating disorders
大田 一路
1
,
中里 良彦
1
Kazumichi OTA
1
,
Yoshihiko NAKAZATO
1
1埼玉医科大学脳神経内科
キーワード:
温熱性発汗
,
精神性発汗
,
無汗症
,
多汗症
Keyword:
温熱性発汗
,
精神性発汗
,
無汗症
,
多汗症
pp.610-615
発行日 2023年5月6日
Published Date 2023/5/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28506610
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
ヒトの発汗機構は,温熱性発汗と精神性発汗に分けられる.温熱性発汗は暑熱環境下で体幹・四肢に生じ,体表面に分泌された汗が蒸散による気化熱で皮膚温を下げることで体温調整に関する重要な役割を果たす.温熱性発汗はヒトに備わった優れた冷却機構である.こうして,発汗は体温を一定温度以上にならないように調節し,熱に脆弱な脳組織を高温から守るために中心的役割を担っている.温熱性発汗は視床下部を中枢とし,脳幹・交感神経脊髄下行路から交感神経節に至る.その後,節後線維を介してアセチルコリンを伝達物質として汗腺へ情報伝達し,発汗が生じる.ただし,大脳皮質・辺縁系を上位中枢とする情動刺激も温熱性発汗に影響を及ぼす.本稿では発汗に関する基本的事項,発汗検査方法と発汗障害を呈する代表的な疾患を概説した.
Copyright © 2023 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.