FORUM 日本型セルフケアへのあゆみ・第20回
よくわかるゲノム医療③:進行がんのセルフケア
児玉 龍彦
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1東京大学先端科学技術研究センターがん・代謝プロジェクトリーダー,日本セルフケア推進協議会業務執行理事,日本在宅がん療養財団代表理事
pp.293-297
発行日 2023年4月22日
Published Date 2023/4/22
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28504293
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POINT
●ヒトの細胞は成人の体になるまで40回以上分裂し,多数の複製エラー(読み間違い)を起こしていく.がんではエラーの起こるスピードが4~100倍に加速化する.がんが大きくなることだけが進行がんではない.ゲノムが不安定になって,薬剤などの治療に耐性になったり,違う臓器に転移できるよう変異したりすることが,進行がんの本質である.
●進行がんの治療は,ネオアンチゲンを標的とするmRNAワクチンや,がん細胞を攻撃するリンパ球を作るCAR-T細胞療法などの個別化医療が中心となる.現在,ゲノム修復不全ながんに対するPARP阻害薬や,ネオアンチゲンの多いマイクロサテライト異常高値のがんへの免疫チェックポイント阻害薬という,補助療法がゲノム医療として行われはじめている.
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