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連載 救急で出会ったこんな症例――マイナーエマージェンシー対応のススメ・Vol.6
動物に咬まれた! 犬,猫,ヒト,ハムスター
-――よくある咬傷からまれな合併症まで
Common animal bites, dogs, cats, hamsters and human bites including rare complications
田中 保平
1
Yasutaka TANAKA
1
1自治医科大学救急医学講座
キーワード:
動物咬傷
,
アナフィラキシー
,
アレルギー
,
人獣共通感染症
Keyword:
動物咬傷
,
アナフィラキシー
,
アレルギー
,
人獣共通感染症
pp.289-292
発行日 2023年4月22日
Published Date 2023/4/22
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28504289
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◎昨今のコロナ禍に影響されて,室内飼いのペットに癒しを求めたりペットとすごす時間が増えた人が増加している.しかし,室内飼いのペットによる問題も多々報告されている.そこで今回は代表的な犬猫を含め,ヒトやハムスターも交えて哺乳類による咬傷への対応について概説する.咬傷は,物理的な損傷も問題となるが,それだけでなく犬・猫・ヒトでは多数の口腔内常在菌が存在しているため創部の感染には十分に注意をする必要がある.創は一般的に早期に縫合閉鎖することが望ましいとされるが,咬傷の場合は,縫合することで深部に細菌が閉じ込められる可能性が増すので感染の成立の危険性も高まる.一部の咬傷は安全に閉鎖できるとする報告があるが,その鑑別は容易ではなく,多くの咬傷では早期創部閉鎖に関する十分なエビデンスが確立されていない.そのため創部は十分な洗浄を行い,閉鎖せずに慎重に経過を見ることもある.また,ハムスターなど齧歯類では咬傷後のアナフィラキシーに関する報告が多数認められ,創だけでなくアナフィラキシーの有無など全身状態や経過も慎重に診察することが必要となる.
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