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神経核内封入体病
神経核内封入体病(neuronal intranuclear inclusion disease:NIID)は,中枢神経系の神経細胞,末梢神経系,および一般臓器の細胞に広く核内封入体の存在が認められることを特徴とする神経変性疾患である.NIIDには孤発性と家族性があり,症状としては筋力低下や認知機能障害がみられ,発症時期は小児期から高齢期まで幅広い.1984年,Haltiaらは11歳ではじめて症状が現れ21歳にNIIDとして診断された双子の症例を報告し,NIIDが遺伝性であることを示した1).NIIDは,1968年に最初の症例が報告されて以来2),死後の脳組織の病理学的観察で診断されることの多い疾患であったが,2011年に皮膚生検によってNIIDの診断が可能であることが報告された3).また,最近になってこのNIIDの原因遺伝子がNOTCH2NLCのGGCトリプレットリピートの伸長であることが新たに報告された4,5).このようなトリプレットリピート病にはハンチントン病を含めすくなくとも17種類の疾患が知られているが,どれも凝集体タンパク質の組成は直接調べられていなかった.筆者らは,Soneらにより診断方法が開発されたNIID3)とは異なるフィンランドのNIID患者脳1)を用いて,凝集体のタンパク化学的解析を行い,その組成を明らかにした.このNIIDの特徴は,NOTCH2NLCのGGCのリピート伸長がないことと病理学的に自家蛍光があることである(図1).NIIDは家系が少ないことから,遺伝学的アプローチが困難であった.このような疾患に対しては直接凝集体の組成を明らかにするアプローチが必要となる.
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