Japanese
English
特集 小児COVID-19関連多系統炎症性症候群(MIS-C/PIMS)の診療
MIS-C/PIMSの病態
Pathogenesis of MIS-C/PIMS
宮入 烈
1
Isao MIYAIRI
1
1浜松医科大学小児科学講座
キーワード:
MIS-C/PIMS
,
COVID-19
,
SARS-CoV-2
,
スーパー抗原
,
スパイクタンパク
,
免疫調節障害
Keyword:
MIS-C/PIMS
,
COVID-19
,
SARS-CoV-2
,
スーパー抗原
,
スパイクタンパク
,
免疫調節障害
pp.272-276
発行日 2023年1月28日
Published Date 2023/1/28
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28404272
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小児COVID-19関連多系統炎症性症候群(MIS-C/PIMS)は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染から数週間後に発症すること,川崎病の臨床像と一部共通性があること,免疫グロブリンやステロイドが奏効することから,感染後の過剰な免疫応答を主病態とする疾患としていくつかの仮説が提示されてきた.SARS-CoV-2感染者に占めるMIS-C発症者の割合は少なく,特定の宿主因子の存在が想定されてきたが,複数の検討で自然免疫系遺伝子の機能喪失型バリアントなどが確認されている.また患者検体を用いた免疫学的プロファイリングからは,SARS-CoV-2特異的な獲得免疫の障害と,活性化されたCD8陽性T細胞の存在や自己抗体の産生が確認されている.また,SARS-CoV-2のスパイクタンパクにはT細胞を広く活性化する機能を持つスーパー抗原様の特徴が認められている.すなわち,自然免疫系の異常による不完全な免疫を背景に,腸管などに持続的に感染しているウイルスのスパイクタンパクが血中に漏出し,T細胞を刺激して過剰応答をきたすメカニズムが提唱されている.
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